認知症とは?
認知症とは、脳の機能が損なわれ、認知能力が低下する病状や症候群の総称です。
これは通常、進行性の疾患や脳の障害によって引き起こされ、日常生活において思考、記憶、言語、判断力、注意力、計画立案、直接的な物事の理解などの認知機能に影響を与えます。
認知症の種類は4種類あります
アルツハイマー病
脳の中にアミロイドβというタンパク質が溜まり、脳の神経細胞を壊して脳を萎縮させる病気です。認知症全体の70%をしめます。
初期症状:物忘れ、判断力の喪失、言語障害、日常動作の困難、情緒的な変化など
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起こったことによって、認知機能が低下した状態のこと。アルツハイマーに次いで多いです。
初期症状:手足の痺れなど、急激な記憶障害、注意力の低下、運動障害、言語障害、感情変動など
レビー小体型認知症
大脳皮質にレビー小体というタンパク質が現れ、神経細胞を壊し認知症の症状が表れます。
初期症状:幻聴・手の震え、運動の悪化、認知機能の低下、睡眠障害、意識の変動など
前頭側頭葉変性症
前頭葉や側頭葉に病的なタンパク質がたまり萎縮し血流が低下します。認知症の中では、唯一難病指定されており、アルツハイマーに比べて記憶障害はさほどみられません。
初期症状:社会性の欠如、抑制力の欠如、倫理観の欠如、判断力低下、行動変化など
アルツハイマーが発症する段階
アルツハイマーを発症する段階は以下の通りです。
頭の中でアルツハイマーの元が育ち始めています。神経細胞が死んでいき、脳はゆっくりと萎縮。目立った症状はなく、身体的にも元気な状態です。10〜25年以上続きます。
本人は物忘れに気づいていても、周囲の人から見ればわからない状態。
この段階では、通常の年齢に関連する記憶の変化や軽度の認知機能の低下が現れますが、これらの症状がまだアルツハイマー病と診断されるには至りません。
患者は日常生活を維持できますが、物忘れや計画の難しさが感じられます。
軽度ではありますが、病理学的に既に末期の入口といえるのがMCI期。認知症の一歩手前の状態です。
この段階では、アルツハイマー病の診断が確立され、病状は進行しています。
主な症状には、記憶障害、言語障害、日常生活の計画と実行の困難、物事の順序を理解する困難、気分変動、集中力の低下などが含まれます。
患者はまだ独立した生活ができることが多いが、サポートや監視が必要な場合もあります。
この段階では、症状が進行し、日常生活においてより大きな支援が必要になります。
患者は時間の感覚を失い、自己ケアが難しくなり、認知機能の低下が著しいです。
言葉の理解と使用が難しくなり、問題行動や幻覚が現れることがあります。
この段階では、認知機能はほぼ完全に喪失し、日常生活の全ての側面に対する支援が必要です。
患者は対話が難しくなり、運動能力が失われ、寝たきりになることが一般的です。
食事、排泄、入浴など、基本的な生活活動に関する完全な介護が必要です。
嚥下障害、免疫機能の低下により合併症を引き起こします。
最終的に呼吸機能に障害が現れる方が多いです。
言葉によるコミュニケーションもなくなり、反応や表情で感情を表すことができなくなります。
MCI期に対策するのが重要
認知機能における軽度の障害があるが、一般的な日常生活においてまだ独立した生活ができる状態を指します。
MCIは通常、アルツハイマー病や他の認知症の前段階として考えられ、認知機能が通常の年齢に関連する変化を超えるが、認知機能の低下が認知症とは見なされない段階です。
▼チェックリスト
- 1日のうちに同じ会話を何度もすることが多くなった。
- 日課をしなくなった。だらしなくなった。
- 道に迷うようになった。
- 最近会った人の名前や仲の良い人の名前をなかなか思い出せない。
- 同時に2品の料理を作る時などミスが増えた。
- ものを置いた場所を忘れることが増えた。
MCIは2種類に分かれます
・記憶障害がある。
・アルツハイマーや血管性認知症になる確率が高い。
・記憶障害がない
・注意力、判断力が低下
→非健忘型に関しては知らない間に進行しやすいので注意が必要です。
MCI検査について
MCI検査では、以下のような検査を行います。
- 日常生活に関する問診
- 認知機能検査
- 「長谷川式簡易知能評価スケール」などの記憶力や認知機能に関わるテスト
- 画像検査 CT・MRI
- MCIスクリーニング検査
- 血液採取(自費)
- SPECTなど
一度MCIと診断された後に認知機能が正常な状態へと回復する確率は16〜41%ほどといわれています。
回復には適切な対策が必要です。